Masara Kagami

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形態
シマウマは概して草を食す植物食である。シマウマの外見的特徴は、毛の黒地に白の縞模様に加え、大きな耳、先端がふさ状になった尾など、その姿は野生のロバとよく似ており、鳴き声もロバに近い。ゆえに「縞模様のロバ」と呼ぶ言語もある。

シマウマの縞模様の効果は、捕食者が狩りの獲物とする個体を識別しにくくすることといわれてきた。これは、霊長類以外の哺乳類は色の識別能力が低いことと関連している。つまり、シマウマの白黒の模様は、霊長類以外の哺乳類が遠くから見た場合には草原の模様に埋もれ判別しにくいとされる。また、縞模様は身体の部位ごとに向きが異なり、群れをなすと各個体の縞模様が混ざって視覚的に同化してしまう。しかしMelinらの研究により、天敵の大型肉食獣は人間ほど縞の認識ができておらず、このため同じところに暮らす他種の植物食動物の単一の色の被毛に対して、縞模様が特に天敵を混乱させることに優位ではないということが判明した。他にも説があり、日よけや草食動物のため群れている方が被害が少なく、仲間同士で群れを見つけるのに役立っているとも言われている。

シマウマなど縞模様を持つ生物は、体表面で温度差を形成して微細な空気の流れを生じさせ体温調節に役立てているとする研究がある。 しかしNHKダーウィンが来た! 〜生きもの新伝説〜の2017年(平成29年)10月1日放送で、独自にこの説の真偽を実際の生息環境で検証したところ、黒縞の部分は温度が大きく上がり、白縞の部分も黒縞よりは低いが温度が上昇し、低下を見せたのは温度差が生む風でなく自然の風が吹いたときだけということが判明した。

2014年には、カリフォルニア大学デービス校のティム・カロ(Tim Caro)博士らの研究チームが、シマウマの縞模様は、吸血性のハエの仲間が媒介する伝染病から身を守るためである可能性が高いとの研究成果を発表した。 カロらの研究チームは、ウマ科の動物から吸血し、その際に睡眠病を媒介するツェツェバエなどの吸血性ハエの仲間とシマウマの生息域は地理的に重複し、またシマウマの体毛は極端に短く吸血が容易であるにもかかわらず、ツェツェバエの体内からシマウマの血液がほとんど検出されないこと、ツェツェバエは色彩が均一な面を好んで着地しシマウマのような模様のある面は避ける傾向にあることが実験により確認されたこと等により、吸血性ハエの被害からの防御と縞模様との関係は「きわめて高い」と結論づけた。

生態
ヌー、トムソンガゼル、トピなどのレイヨウ類、キリン、ダチョウなどと混群をなすことがある。

天敵はライオン、ブチハイエナリカオンナイルワニである。

シマウマは加齢に伴い気性が荒くなる。また人間になつくことはほとんど無く、騎乗や運搬用に馴致することが困難である。アフリカでは輸入した馬に病気が多発するため、19世紀からヨーロッパ人による現地のシマウマの家畜化がたびたび試みられたが、成功した例は少ない。

家畜化

シマウマを家畜化しようとする試みは、いくつかあった。特に、ヨーロッパ人がアフリカを植民地化していた頃、ヨーロッパ人の持ち込んだウマは、ツェツェバエに刺されて眠り病にかかることが多く、使い物にならなかった。そのため、眠り病にほとんどかからないシマウマが注目されたのである。

しかし、ごく一部に家畜化できた個体はいたものの、ほとんどが失敗した。シマウマは気性が荒く、どうやっても人に懐かなかったのである。この荒い気性を持つようになった理由として「アフリカでは古くからシマウマは食料として狩りの対象であったため、シマウマが人に対して強い警戒心を持った」あるいは「アフリカではライオンやハイエナなどの強力な肉食獣が多く、身を守るために攻撃的な性質を獲得した」との説もあるが、はっきりしない。

また、シマウマの体は、ウマと比べて小柄で、さらに背の骨格も貧弱なため、人が乗ったり、重い荷物を運ばせたりするのは難しい。このため、家畜化できたとしても、ウマと比べて利点が少ない。

時代が進み、ウマすらも自動車に取って代わる時代が訪れると、シマウマを家畜化する試みは、一部の研究者を除いて、試されなくなった。

Kokoro Awane

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アンゴラ(カビンダ)、ウガンダガボンカメルーン南部、コンゴ共和国コンゴ民主共和国東部、赤道ギニア中央アフリカ共和国南部、ナイジェリア東部、ルワンダ

体長オス170 - 180センチメートル、メス150 - 160センチメートル。体重オス150 - 180キログラム、メス80 - 100キログラム。毛衣は黒や暗灰褐色。

出産直後の幼獣は体重1.8キログラム。オスは生後13年で背の体毛が鞍状に白くなり、シルバーバックと通称される。生後18年で後頭部が突出する。

ゴリラは血液型を有するが、これはABO式血液型などのヒトの血液型と比較できるものではない。

本属に関する生物学的知見は、高地で眠り病などの伝染病を媒介するツェツェバエ類などの昆虫が少なく牧畜が行われていたため一部の現地住民を除いて食用として狩猟されることが少なかったこと・農作物を食害することが少なく害獣としての地元住民との軋轢が少なかったこと・これらにより人間に対する警戒心が薄く直接観察しやすかったこと・高い木がなく下生えが密生した環境に生息するため草が倒れた痕跡で追跡しやすかったこと・ほとんど樹上に登らないため痕跡が途絶えにくいこと・アフリカで最も古い国立公園であるヴィルンガ国立公園に生息し保護が早くから進められていたことなどの理由から、近年までヒガシゴリラの基亜種(以下マウンテンゴリラ)を中心とした知見に基づいていた。

多湿林に生息する。ガボン(国土の80 %以上を熱帯雨林が占める)ではニシゴリラの基亜種(以下ニシローランドゴリラ)が国内のサバンナを除く環境すなわち海岸の低木林・一次林・二次林にも生息することが判明している。生息密度は主に1平方キロメートルあたり1頭だが、コンゴのニシローランドゴリラ個体群では湿地での個体密度が1平方キロメートルあたり5頭に達することもある。昼行性で、夜間になると日ごとに違う寝床を作り休む。10 - 50平方キロメートルの行動圏内で生活し、1日あたり0.5 - 2キロメートルを移動する。

亜種や地域によって変化があるものの社会構造は端的にいえば、(1)単独のオス、(2)オス1頭とメス複数頭からなる群れ、(3)複数の雌雄が含まれる群れ、からなる。オスが成体になっても群れに残る傾向があるマウンテンゴリラを除くと、複数の雌雄が含まれる群れを形成することは少ない。オスの幼獣が産まれて成長すれば複数の雌雄が含まれる群れとなるが、通常は父親が後から産まれたオスが群れのメスと交尾しようとすると威嚇し交尾を抑制するために後から産まれたオスは群れから離脱してしまい、オス1頭とメス複数頭からなる群れに戻る。群れのオスが死亡した場合は、後から産まれたオスが群れを引き継ぐこともある。群れの大きさは低地では20頭以下、高地では30頭以上の群れを形成することもある。例として亜種ヒガシローランドゴリラでは、同亜種でも低地個体群と高地個体群では群れの大きさが異なる。群れ同士の関係は同じ地域であっても変異があり、マウンテンゴリラのヴィルンガ個体群はある時期には群れ同士が威嚇するだけで激しい衝突はせず異なる群れの幼獣同士で遊ぶこともあるといった報告例があったが、別の時期にはオス同士では激しく争い命を落とすこともあり子殺しも行うといった報告例がある。

食性は植物食傾向の強い雑食で、果実、植物の葉、アリやシロアリなどの昆虫などを食べる。低地では種にかかわらず果実食傾向が強く、果実が豊富な環境では果実を主に食べ、食べる果実の種数がチンパンジーと同程度に達することもある。本属とチンパンジーが同所的に分布するガボンの調査例では、食性の57 %(果実では79 %)がチンパンジーと重複する。マウンテンゴリラは季節によって果実なども食べるが、乾季に食物が少なくなると植物の葉・芽・樹皮・根などの繊維質植物を食べる[3]。低地ではアリを日常的に食べ、糞の内容物の調査では糞中からアリの破片(コンゴ共和国24 %、カフジ=ビエガ国立公園およびロペ30 %、中央アフリカ43 %)が発見された例もある。食べるアリの種類や、採食方法などは地域差がある。採食方法の例として、平手で地面をたたく・平手で樹上の巣を壊す・手の上に巣を乗せアリを叩き落とす・アリの群れに手を突っ込んで舐めるなどといったものがある。シロアリが生息しない高地に分布するヒガシゴリラは、植物についているダニやクモを無作為に食べることで動物質を補っていると考えられている。マウンテンゴリラは自分の糞も含めた糞食を行い、腸内細菌の摂取や未消化の食物を再吸収していると考えられている。

捕食者としてヒョウが挙げられる。例としてヴィルンガ山地のキソロでのシルバーバックの個体がヒョウに殺されたという報告例、コンゴ共和国のン・ドキでヒョウの糞の内容物の調査からオスの骨が発見された例、中央アフリカのザンガ・サンガ国立公園でヒョウに襲われた報告例などがある。カフジ=ビエガ国立公園のヒガシローランドゴリラの個体群ではオスが死亡した群れでメスや幼獣が主に地表に作っていた寝床(68.8 %)を樹上に作るようになった報告例がある(地表の寝床の割合が22.9 %まで減少)。この群れはオスが合流すると、60 %の割合で再び地表に寝床を作るようになった。これはオスがいなくなったことで、捕食者を避けようとしたためだと考えられている(カフジ=ビエガ国立公園にはヒョウはいないが、1970年代までは目撃例があったとされる)。動物学者の小原秀雄は、ゴリラを含む類人猿は知能が高いので恐怖や痛みに極めて敏感であり、ヒョウなどの捕食動物には不得手であると述べている。

繁殖様式は胎生。妊娠期間は平均256日。出産間隔は3 - 4年。寿命は約40 - 50年で、53年の飼育記録がある。 2017年1月17日に死亡したアメリカ、オハイオ州のコロンバス動物園の雌のゴリラ「コロ」は60歳まで生きた。死亡時には子供が3頭、孫が16頭、曾孫が12頭、玄孫が3頭いた。また彼女は人間に飼育されている環境下で誕生した初のゴリラでもあった。

前肢を握り拳の状態にして地面を突くナックルウォーキングと呼ばれる四足歩行をする。

発見以来、長年に渡って凶暴な動物であると誤解されてきたが、研究が進むと、交尾の時期を除けば実は温和で繊細な性質を持っていることが明らかになった。かつてドラミングが戦いの宣言や挑発の手段と考えられていたが、山極寿一によれば、胸をたたいて自己主張し、衝突することなく互いに距離を取るための行動だという。また、群れの間では多様な音声を用いたコミュニケーションを行い、餌を食べる時などに鼻歌のような声を出しているのが確認されている。

ゴリラは警戒心が強く、神経性の下痢にかかりやすい、心臓の負担から死にいたるなど、ストレスに非常に弱いことも明らかになっている。特に交尾の時期には、オスがメスを殺すことがあり、動物園での繁殖には細心の注意が必要とされる。

群れ同士は敵対的だが、縄張りを持たず、お互い避け合うことが知られている。交尾は一年を通じて行われ、発情期による「交尾の季節」は存在しない。ゴリラのメスには、チンパンジーに見られるような性皮の腫脹がないため、外見では発情しているかどうかは分からない。

Emiri Kisaki

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アルジェリアアンゴラ、イラン、ウガンダケニアザンビアジンバブエタンザニア、ナイジェリア、ニジェールブルキナファソベナンボツワナマリ共和国南アフリカ共和国モザンビーク

古くはサハラ砂漠熱帯雨林域を除くアフリカ大陸全域、パレスチナからアラビア半島・インド・タジキスタンにかけて分布していた。アジアでは、イラン中部を除いて絶滅している。

胴長(体長)110 - 150センチメートル。尾長60 - 90センチメートル。肩高67 - 94センチメートル。体重35 - 72キログラム。体型は細い。頸部から背にかけて体毛が伸長する。種小名jubatusは「鬣がある」の意で、幼獣の鬣も含めこの伸長した体毛に由来する。毛衣は淡黄色で硬く、黒い斑点が点在する。和名や英名は「胴体に斑点がある」という意のサンスクリット語であるchitrakaに由来する。眼の内角から口にかけて、黒い筋模様が入る。この筋模様(涙状斑)は、昼間の眩しさを和らげる働きがある、表情を際立たせるなどのに役立っている可能性がある。尾には黒い帯模様が入り、先端の毛衣は白い。

頭部は小型。耳介は小型で、やや扁平。虹彩は黄褐色で、瞳孔は丸い。犬歯および歯根は小型だが、これにより鼻腔が広くなり呼吸量を増加させると共に獲物に噛みつきながら呼吸がしやすくなっている。四肢は、細長い。爪をおさめる鞘がなく、爪を部分的にしかひっこめることができない。これにより爪がスパイクの役割をして、速く走ることに適している。属名Acinonyxは「動かせない爪」の意だと考えられている。

出産直後の幼獣は体長30センチメートル。体重240 - 300グラム。飼育下では平均463グラム。生後3か月以内の幼獣は頸部から背にかけて、青灰色の鬣状の体毛で被われる。この鬣は捕食者から発見されにくくなる効果や、体温調節に役立つと考えられている。

ジンバブエ(旧ローデシア)には斑点が繋がり、帯状になる突然変異個体(キングチーター)がいる。この変異は劣性遺伝。イエネコのタビー模様をもたらす変異と同じ遺伝子の変異によって、もたらすものとされる。

サバンナ内の草原や疎林・低木林に生息し、湿生が中程度(カラハリ砂漠南部のような乾燥したサバンナにも生息する)で草原と疎林が点在する環境を好む[6]。砂漠や半砂漠(サハラ砂漠ナミブ砂漠・イラン)では、水路や山脈の周辺に生息する。地表棲だが、樹上に登ることもある。樹上に登るのは臭い付け(マーキング)や、獲物を探すのに有用だと考えられている。昼行性で、これは獲物を視認したり大型食肉類を避けるためだと考えられている。一方で涼しい時期や育児中の母親は1日中活動することもあり、サハラ砂漠やオカバンゴなどでは夜間にも活発に活動するとされる。単独で生活するが、母親とその幼獣・血縁関係のある個体(兄弟など)では、小規模な群れを形成することがある。一方でこうした群れに、兄弟ではない個体が含まれることもある。オスは縄張りを形成し、群れを形成している場合は共同で縄張りを防衛する。一方で縄張りを形成せずに半ば放浪するオスもいて、縄張りを形成したり放浪する生活を繰り返すこともある。メスや放浪中のオスの行動圏は非常に大きい。セレンゲティ国立公園ではメスは395 - 1,270平方キロメートル、オスは平均777平方キロメートルという報告例がある。一方で獲物が多かったり移動しない地域では行動圏は小さくなり、クルーガー国立公園では185 - 246平方キロメートルという報告例がある。

獲物を追跡するときは、走行速度が2秒で時速72キロメートルに達することもある。1965年にケニアで行われた測定では201.2メートル(220ヤード)を約7秒で走行するのが記録され、これは秒速29メートル(時速約104キロメートル)に相当する。一方でボツワナのサバンナ林では、平均54キロメートルで走行するという報告例もある。近年行われた計測では平均時速は59キロメートルである。疾走できるのはオカバンゴでは、平均173メートルという報告例がある。最大600メートルまで全力疾走することができるが、通常は300メートル未満。

小型から中型有蹄類、大型有蹄類の幼獣などを食べ、ノウサギ類や鳥類を捕食することもある。地域別では主にダマガゼルやドルカスガゼル(サハラ砂漠)、スプリングボック(カラハリ砂漠などのアフリカ南部)、インパラ(アフリカ東部および南部)、グラントガゼルやトムソンガゼル類(アフリカ東部)などを食べる。小型から中型の獲物(体重20 - 60キログラムのガゼル類)がいない・大型有蹄類の生息数が多い場合は大型有蹄類を好んで捕食することもあり、アフリカ南部ではニアラ(体重55 - 127キログラム)・イランではパサン(体重25 - 90キログラム)やムフロン(体重36 - 66キログラム)などを食べることもある。オス同士が協力した場合は単独では通常襲わないようなオグロヌー・オリックス・サバンナシマウマの幼獣を襲い、アフリカスイギュウやキリンの幼獣を殺すこともある。鳥類はダチョウ、ノガン類、ホロホロチョウ類などを食べる。動物の死骸は食べないが、これは大型の食肉類との争いを避けるためだと考えられている。家畜を襲うこともあり、ナミビアの調査では食性の10 - 15 %がヒツジ・ヤギ、3 - 5 %がウシの幼獣だったとする報告例もある。 蟻塚の上や低木の樹上などから獲物を探すが、丈の長い草が茂みがある環境では茂みの中で獲物を待ち伏せる。獲物に100 - 300メートルまで接近してから狩りを行うが、距離が200メートル以上だと狩りの成功率は低下する。獲物を発見すると近距離まで忍び寄ってから、全力で疾走しながら獲物を追跡し引き倒した後に喉に5 - 10分間噛みついて窒息死させる。狩りの成功率は半分程度。倒した獲物は他の動物に邪魔されないように、茂みの中などへ運んでから食べる。頭部や顎の力が弱く、獲物の骨などは噛み砕くことができないため残す。成獣は2 - 5日に1度獲物にありつければ十分だが、子育て中のメスは毎日狩りに成功する必要がある。 水は4日に1回、ときには10日に1回だけ飲むこともある。 幼獣の捕食者はヒョウ・ブチハイエナ・ライオンなどが挙げられ、ライオンは成獣も殺すこともあるが逃げきれることが多い。

繁殖様式は胎生。発情したメスは木や茂み・岩などに放尿し、その臭いをかぎ付いた優位のオスは鳴き声をあげながらメスを追跡する。メスがオスを受け入れると互いに鳴き交わし、1 - 2日間に数回交尾を行う。妊娠期間は90 - 98日。野生下では、1回に6頭までの幼獣を産む。主に2 - 4頭の幼獣を産む。飼育下では最大8頭の出産例がある。幼獣は生後2 - 14日で開眼し、生後16日で歩行できるようになる。授乳期間は3 - 6か月。生後15 - 17か月で狩りができるようになる。上述のように生後8週間以内はライオンによる捕食により死亡することが多く、ブチハイエナに捕食されることもある。セレンゲティ国立公園では、ある時期の幼獣の死亡率が95 %に達したという報告例がある。一方でこれは開けた環境であるセレンゲティ国立公園で主な死因であるライオンの個体密度が急増した時期の報告とされ、通常はこの割合よりも小さい。生後14 - 16か月で性成熟する。セレンゲティ国立公園での平均寿命はオス5年、メス6年。同国立公園では最長寿命はオス11年、メス14年。

Hinano Miyako

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ケナガマンモスを含む絶滅した様々なゾウの化石は古くからヨーロッパ人に知られていたが、それらは聖書の記述に基づいて、巨獣や巨人のような伝説の生き物の遺体として解釈されていた。18世紀に入るとアイルランドの収集家ハンス・スローンやフランスの博物学者ジョルジュ・キュヴィエらが「巨人の骨=ゾウの骨」という認識を示し、1799年にドイツの動物学者ヨハン・フリードリヒ・ブルーメンバッハが「最初のゾウ」を意味するElephas primigeniusの学名を与えた。1828年、イギリスの解剖者ジョシュア・ブルックスは、自身の所有していたケナガマンモスの化石にMammuthus borealisの学名を与え発表した。"マンモス"という言葉は少なくとも17世紀初頭から使われていたが、その由来はよく分かっていない。シベリアの少数民族マンシ人の言葉で「大地の角」を意味するmēmoŋtに由来するという説や、アラビア語で巨大な獣を意味するmehemotに由来するという説、エストニア語で大地を意味するmaa、あるいはモグラを意味するmuttに由来するという説などが唱えられている。

Rika Ayano

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アフリカ大陸からアラビア半島・東南アジア・ロシア極東にかけて

ネコ科の構成種では、最も広域に分布する。

胴長(体長)100 - 150センチメートル。尾長50 - 101センチメートル。体重オス20 - 90キログラム、メス17 - 42キログラム。アフリカ南部・東部や中央アジアの個体群は大型で、中央アジア南アフリカ共和国沿岸部の山地の個体群は小型とされる。全身は柔らかい体毛で密に被われる。背面の毛衣は淡黄褐色や淡褐色で、腹面の毛衣は白い。頭部や頸部、腹面には黒い斑点が入り、背面や体側面には黒い斑点が花のように並ぶ斑紋が入る。

四肢はやや短い。

出産直後の幼獣は、体重0.4 - 0.6キログラム。乳頭の数は4個。

毛衣が黒い突然変異(クロヒョウ)がいて、この変異は劣性遺伝。黒化個体(メラニズム)は湿度の高い熱帯林や亜熱帯林・山地林でみられるが、乾燥林でみられることもある。地域別ではアジア南部、特にマレーシアやジャワ島の個体群では黒化個体が多いとされる。黒化個体にも斑紋があり、赤外線照射を用いれば個体識別が可能とされる。

サバンナや熱帯雨林・半砂漠など様々な環境に生息し、都市部の郊外に生息することもある。夜行性。群れを形成せず単独で生活する。

主に小型から中型の有蹄類を食べインパラ・ウォーターバック・セーブルアンテロープ・ローンアンテロープ・ゴーラルNaemorhedus goral・スプリングボック・ニアラ・パサン・ブッシュダイカー・ハーテビースト属などのウシ科、アカカワイノシシ・カワイノシシ・イボイノシシ類などのイノシシ科、アクシスジカ・マエガミジカ・ホエジカ属Muntiacusなどのシカ科、ミズマメジカHyemoschus aquaticusなどを食べる。まれに大型の有蹄類の成獣を捕食することもあり、記録があるもので最も大型の獲物としてイランドの成獣を狩った例もある。一方で多様な獲物を襲い他の哺乳類ではケープハイラックス、ウスゲアブラヤシリスProtoxerus stangeri・アカアシアラゲジリスXerus erythropusなどの齧歯類、アフリカジャコウネコCivettictis civetta・ヨーロッパジェネットGenetta genetta・シママングース・コビトマングースHelogale parvulaなどの食肉類、オナガセンザンコウManis tetradactyla・キノボリセンザンコウManis tricuspis・サバンナセンザンコウManis temminckiiなどの鱗甲類、アヌビスヒヒ・チャクマヒヒ・ダイアナモンキー・ボノボなどの霊長類、鳥類、爬虫類、魚類、糞虫などの昆虫なども食べる。人間の居住地域である場合は、犬や人間も襲う。捕えた獲物を樹上へ運び、数日にわたって食べたり保存することもある。樹上に持ち上げる力は強く、キリンやクロサイの幼獣を樹上まで運んだ例もある。 トラ・ライオン・ドール・リカオンブチハイエナに、本種の幼獣も含めて殺されることもある。これらに殺されるのは通常は衰弱個体や若獣であるが、まれな例としてチンパンジー・ヒヒ類・ナイルワニ・ニシキヘビ類・狩りに失敗してイボイノシシやアフリカタテガミヤマアラシに殺された例もある。 上述の捕らえた獲物を樹上に運ぶ行為は、ライオンやハイエナ等の他の捕食者から獲物を横取りされるのを防ぐのが主な狙いであるとされる。

繁殖様式は胎生。イランでは1月中旬から2月中旬、アムール地方では1 - 2月、ネパールでは11 - 12月に交尾を行う。妊娠期間は88 - 112日。岩の隙間や樹洞・藪の中などで1回に1 - 6頭(平均2 - 3頭)の幼獣を産む。幼獣は生後18 - 24か月で独立する。生後2年6か月から3年で性成熟する。

Ren Isuzu

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スカンジナビア半島から日本にかけてユーラシア大陸北部に帯状に広く分布する。温帯から亜寒帯にかけての針葉樹林、混交林、湿地、牧草地、農耕地などに生息し、留鳥として定住性が強い。

日本では、九州以北から、四国、本州、北海道にかけて分布する留鳥で、平地から低山、亜高山帯にかけての森林、農耕地、草原、里山などに生息する。大木がある社寺林や公園で見られることがある。

全長は50-62 cm、翼開長は94-110 cm、尾長は22-25 cm。日本のフクロウ類ではシマフクロウ(全長約71 cm)、ワシミミズクシロフクロウ(全長約58 cm)に次いで大きく、ハシボソガラス(全長約50 cm)と同じ程の大きさ。体重はオスが500-950 g、メスが570-1,300 g。尾羽は12枚あり、褐色の横斑があり、やや長く扇形。上面は褐色の羽毛で覆われ、濃褐色や灰色、白い斑紋が入る。下面は白い羽毛で被われ、褐色の縦縞が入る。顔は灰褐色の羽毛で被われ、顔を縁取る羽毛(顔盤)はハート型。翼は短く、幅広い。翼下面は淡褐色の羽毛で被われ、黒い横縞が入る。雌雄同色。

平たいお面のような顔で、頭は丸くて大きい。目は大きく暗闇でも物がよく見えるように眼球が大きく発達し、眼球とまぶたの間に半透明の瞬膜があり、日中は眼球を覆い網膜を保護する。角膜は大きく盛り上がり、網膜細胞が発達している。目は、他の種類の鳥が頭部の側面にあるのに対して、人間と同じように頭部の前面に横に並んでいる。虹彩は黒や暗褐色。嘴は先端が鋭く、視野の邪魔にならないように短く折れ曲がっていて、色彩は緑がかった黄褐色。趾は羽毛で被われ、指が前後2本ずつに分かれていて、大きな指の先に鋭いかぎ状の爪が付いている。ミミズクにある羽角はなく、耳は目の横にあり、顔盤の羽毛で隠れている。

幼鳥は全身が白い羽毛で被われる。

単独またはつがいで行動し、渡りは行わない。夜行性で昼間は樹洞や木の横枝などでほとんど動かず目を閉じて休息している。夕方から活動を始めるが、日中に行動することもある。冬場の獲物が少ない時や強風や雨天が続いた場合は昼間でも狩りを行ったり、保存した獲物を食べる。日中木の枝でじっとしている時にカケスなどの他の鳥に騒ぎ立てられて、他の場所へ逃げ出すこともある。森林内の比較的開けた空間や林縁部などの樹上で獲物を待ち伏せて、首を回しながら小動物の立てる物音を察知し獲物を見つけると羽音を立てずに軽やかにふわふわと直飛し獲物に近づく。足の指を広げて獲物の背中に突き立て、獲物を押さえつけて締め殺す。目は人間の10-100倍ほどの感度があるとみられていて、目で遠近感をつかめる範囲は60-78度と広いが、視野は約110度と狭く、これを補うために首は上下左右約180度回り、真後ろを見ることができる。体を動かさずに首だけで約270度回すことができる。発達した顔盤は小さな音を聞くアンテナとしての機能があり。左右の耳は大きさが異なり位置も上下にずれているため、音源の位置の方向と距離を立体的に認識することができる。聴覚が発達しており、音により獲物の位置を特定し、雪の下にいるノネズミや地上付近のトンネル内を移動しているモグラやミミズを仕留めることができる。

ヨーロッパ北部でのペレットの内容物調査では主に小型哺乳類、鳥類、両生類が検出され、昆虫が含まれることは2%未満でまれという報告例がある。2000年に発表された北海道での同一個体のペレットの内容物調査では主にタイリクヤチネズミが検出され(81%)、次いでアカネズミ6.8%、ヒメネズミ4%、鳥類3.6%、シマリス1.4%、ハントウアカネズミ・ドブネズミ・ヒメヤチネズミClethrionomys rutiusが0.4%ずつという報告例がある。日本でも昆虫を食べることはまれとされていたが、2009年に発表された上賀茂試験地での調査では6 - 8月にかけて本種の周辺にカブトムシの成虫の死骸が多く散乱し、実際に飛翔中のカブトムシを本種が捕える様子が確認されたという報告例もある。この報告例ではメスの死骸の発見率が高く、卵を持ち高栄養価のメスを選択的に捕食していた可能性が示唆されている。2007年に発表された富士河口湖町での人工巣内でのビデオ撮影および獲物の残骸から主にアカネズミ・ヒメネズミ・スミスネズミといったネズミ類(約79.7 %)、ヤマネ、アズマモグラヒミズ・ジネズミといった真無盲腸類、ニホンノウサギ(哺乳類全体で約87.9%)、昆虫(約7.8%)、コガラ・コジュケイコルリなどの鳥類(約1.7%)を捕食したという報告例があり、鳥類の比率が小さいのは夜行性の本種とは活動する時間帯が重複しないためだと考えられている。食性は動物食で、主にネズミや小型の鳥類を食べるが、モグラヒミズなどのトガリネズミ目、モモンガ、リスといった小型の哺乳類、カエルなどの両生類、爬虫類、カブトムシやセミなどの昆虫なども食べる。最も多く捕食しているものが、丸呑みし易いハタネズミの仲間の野ネズミ。ハタネズミは体長が約10cm、体重が30-40g程度で、アカネズミやヒメネズミなどと比較して敏捷性が劣る。日齢が2-45日の巣立ち前のヒナの1日当たりの食餌量は50-200g、日齢46 - 66日の巣立ち後の幼鳥の食餌量は約200g、日齢66以上の若鳥を含む成鳥の食餌量は約100g。捕獲した獲物を丸呑みし消化し、骨や羽毛などの消化できないものを塊(ペリット)として吐き出す。市街地近くの森林の少ない場所で巣営するものは、周辺をねぐらとするカワラバトやスズメを捕食したり、民家の屋根裏をねぐらとするアブラコウモリ、飲食店付近ではドブネズミ、夜間に電灯や自動販売機の照明に集まる大型の昆虫などを捕食することもある。秋にはたくさんのノネズミを捕獲して皮下脂肪に蓄えて冬に備える。11月から翌年の2月までにフクロウが食べた物の種類とその割合の調査結果を下表に示す。

繁殖様式は卵生。主に大木の樹洞に巣を作るが、木の根元の地上、地上の穴、屋根裏、神社の軒下や巣箱、他の鳥類の古巣などを利用することもある[11]。フクロウが利用した巣穴には獣毛が混じったペリットが残っていることが多い。2-4月頃に、巣営地付近で夜になると雌雄で盛んに鳴き交わす。3-4月頃に、巣穴に巣材を使わず直接産卵を行う。白色の卵を1-3日おきに2-4個産み28-35日の期間メスが胸の羽根を開いて40度の体温で抱卵する。卵は長径約5.1cm、短径4.2cm、質量50gほどで、白色無斑。卵が転がりやすい形状であるため、巣に小さな窪みを彫って産座を設ける。抱卵の期間に、オスは1日に1-2個体の獲物を捕獲し鳴きながら巣の近くまで来てメスに獲物を受け渡す。メスは獲物を丸呑みしてすぐに巣に戻る。雛へはオスとメスの両方がネズミなどを給餌する。メスは雛へ丁寧に餌を給餌し、雛たちは温厚で互いに争うことなく、35-40日ほどで巣立つ。雛は孵化して2週間ほどで羽毛が生えそろって体温調整ができるようになり、餌を丸呑みできるようになる。この期間にオスが巣へ運ぶ餌の量が急激に多くなり、メスも巣内に留まり、餌を食いちぎって雛へ給餌を行い、巣内のヒナの糞を食べる。孵化して約2週間後には雛の餌の量が増えるため、メスも巣を離れて獲物を捕獲するようになる。孵化して1か月ほどで巣立ち、2-3か月両親から狩りの訓練を受けたり飛ぶ練習などを行い、その年の9-11月頃に親から離れて独り立ちする。雛は一度巣から出ると、もう巣には戻らない。雛に餌をちぎって与えるのはメスが行い、オスは獲物をメスに渡すとまた獲物を捕りに出かける。巣立ち後約50日ごろに羽毛が生え揃い若鳥となる。通常一夫一妻制で、繁殖に成功したつがいは翌年同じ巣を利用する傾向が強い。メスの平均寿命は約8年、3-4年目から繁殖を始めることが多く、5年ほど繁殖を続ける。

鳴き声
種類は成鳥が14種類、幼鳥が4種類[50]存在し、鳴き声は数キロメートル先まで届くことがある。 オスは十数秒おきに犬が吠えるような低い音で[51]物悲しく鳴くことから、不吉な鳥とされることもある[31]。

さえずり
オスは「ゴッホウ ゴロッケ ゴゥホウ」と透き通った良く通る声で鳴き、メスは低くかすれたあまり響かない同様な声で鳴く。

鳴き声を日本語に置き換えた表現(聞きなし)としては「五郎助奉公」や「ボロ着て奉公」、「糊付け干せ」などがあるが、「糊付け干せ」に関しては「フクロウの染め物屋」という昔話が存在する。

地鳴き
オスは「ホッ、ホッ、ホッ、ホッ……」、メスは「ギャーッ!、ギャーッ!」と鋭く濁った鳴き声で鳴く。

Nagisa Momoe

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中華人民共和国甘粛省四川省陝西省)。湖北省湖南省では絶滅。

化石記録から、古くは北京周辺からベトナム北部、ミャンマー北部にかけて分布していたと考えられている。

歯列は門歯が上下6本ずつ、犬歯が上下2本ずつ、小臼歯は上下8本ずつ、臼歯は上顎4本、下顎6本の計42本。臼歯は大型でタケ類を噛み砕くのに適していて、顔も幅広い。食道には輪状の角質が並ぶ。胃の隔壁は厚い。小腸はクマ科内でも短く(表面積が小さい)、盲腸や直腸の表面積は大きい。肛門や性器の周辺に、分泌腺がある。

乳頭の数は4個。

体長・体重
胴長(体長)120 - 150センチメートル。体重オスは100キログラム、メスは90キログラム(飼育個体ではオス120キログラム、メス100キログラム)。立ち上がると170cm程度になる。
体毛
全身は分厚い体毛で覆われる。眼の周り、耳、四肢、背中の両肩の間の毛が黒く、他の部分は白色(クリーム色)である。種小名melanoleucaは「黒白の」の意。この模様や色使いは「単独行動が維持できるように近すぎる距離での遭遇を回避するのに役立っている」「周りの景色に溶け込んで外敵の目から逃れるためのカモフラージュの役割を果たしていた」等と考えられている。色彩は古くは捕食者から輪郭をごまかすのに役立ったり積雪地域での保護色だったとする説もあるが、現在では人間以外の捕食者はほとんどおらず雪もあまりない環境で生活している。
ジャイアントパンダの毛は軟らかそうなイメージがあるが、軟らかいのは生後約1年くらいまでであり、成獣の毛は豚毛ブラシに近く、比較的硬い。毛皮は、硬くて脂ぎっている。

2~3頭身の乳幼児体型で大きい。また目・鼻・口は顔の下半分に集中している。堅い竹を噛み潰す必要上、筋肉が頭蓋骨の上方に位置するため額も広い。

尾長10 - 15センチメートル。尾はほとんど成長しないため、成獣では目立たない。ジャイアントパンダのぬいぐるみ・人形・キャラクターグッズなどのなかには、尾を黒く塗った商品を見かけるが、汚れなどによる誤解や思い込みに基づいて色付けされており、本種の尾の色は正しくは白色(クリーム色)である。
幼少期
生まれた直後は毛が一切生えておらず、薄いピンク色をしている。生後約1週間から十日程で毛根の色が透けるため白黒模様が見え始める。生後1か月ほど経つと親と同じような模様の毛が生え揃う。
出産直後の幼獣は体長15センチメートル。体重85 - 140グラム。

通常、クマは前肢の構造上、物を掴むという動作ができない。しかし、唯一ジャイアントパンダは竹を掴むことができるように前肢周辺の骨が特殊に進化している。第一中手骨(親指)側にある撓側種子骨と第五中手骨(小指)側にある副手根骨が巨大化して指状の突起となっており、その突起を利用して物を押さえ込む。撓側種子骨は人間の親指のように見えることから「偽の親指」や「第六の指」と呼ばれている。
ジャイアントパンダは撓側種子骨があることで物を掴めると長い間考えられてきたが、実際に竹のような太さの棒状の物体を掴むには撓側種子骨に加え、「第七の指」副手根骨が必要であることが、遠藤秀紀ら (1999) によって示された。パンダがこれら2つの骨を使って物を掴む仕組みは、論文の中で「ダブル・ピンサー」、すなわち「パンダの掌の二重ペンチ構造」と紹介されている。

眼の周りの模様が垂れ目のような形をしているが、実際の眼は小さく上がり気味で鋭い目付きである。視力はあまりよくないと考えられていたが、研究によって2000年代、灰色と様々な色合いを区別できることが確認された。
内臓
消化器官や歯の構造はクマやアザラシ等、他の肉食動物と大変似ている。犬歯は大きく、奥歯も大きく平らな臼歯で人間のおよそ7倍の大きさである。腸や盲腸は草食性としては短い構造がデメリットとなり、セルロースを多く含む竹などの食物を食べた場合、栄養摂取の効率が低く、それを量で補うため、ジャイアントパンダは一日の大半を竹を食べることに費やしている。また、陝西省仏坪県の自然保護業務関係者は、三官廟一帯で秦嶺の野生のパンダが牛の足の骨をかじった跡を確認している。
ジャイアントパンダはこれまでアルビノの個体が確認されておらず、その姿や存在を実証する術もなかったことから「存在し得ないもの」と見られていたが、2019年4月中旬に四川省臥竜国立自然保護区にて真っ白な毛色のジャイアントパンダが歩行している様子を山中に設置されたカメラが捉えており、目が赤く足の部分の毛も白いことから、同地管理局では紛れもないアルビノの個体であるとされている。さらに同管理局によれば、専門家は「外部の特徴からこのパンダは遺伝子上の異常が原因で白化した」と分析しているという。

標高1,200 - 4,100メートル(主に1,500 - 3,000メートル)にある、竹林に生息する。3.9 - 6.2平方キロメートルの、行動圏内で生活する。1日あたり500メートル以上を移動することはまれ。昼夜を問わずに活動するが、薄明薄暮性傾向が強い。冬季になると、積雪の少ない標高800メートルくらいの地域へ移動する。

生後40 - 60日で開眼する。授乳期間は8 - 9か月。生後5 - 6か月でタケなどを食べるようになる。生後4 - 5年で、性成熟すると考えられている。飼育下での最長寿命は34年だが、通常は長くて26年。

食事食性の99 %を、タケ類やササ類の葉・幹・新芽(タケノコ)が占める。小型哺乳類・魚・昆虫等の小動物、果物を食べることもあり、他のクマ類と同様に肉食を含む雑食性の特徴も微少であるが残っている。イチハス・クロッカス・リンドウなど他の植物質、ネズミ類・ナキウサギ類などの小型哺乳類、魚類などを食べた例もある。1日のうち55%(平均14時間)を採食に費やすが、消化器官が植物の消化に適していないため栄養摂取の効率が低いためとされる。消化率は約20%で、食後約12時間(タケノコでは約5時間)で排泄される。1日あたり10 - 18キログラム、水分の多いものだと38キログラムの食物を食べる。これは体重比にして、約45 %の量に達する。氷期の到来による気候変動がもたらす食糧不足から偏食を余儀なくされ、常に入手しやすい竹ばかり食べるようになったと考えられている。しかしながら現在は、中国の飼育環境では、竹以外にも肉や野菜などを中心とした餌が与えられ、竹食中心とは言いがたいのが現状である。野生下でも、稀に人里に降りて家畜を食い殺す事件が発生するなど、機会があれば生肉を拒まない。行動群れや家族を形成せず、基本的に単独で行動している。他のクマ科動物と異なり、冬眠はしない。繁殖繁殖期は年に一度、3月から5月の間であり、マーキング(territorial marking)が行われることもある。メスの受胎が可能な期間は数日ほど。妊娠期間は3か月から6か月で、洞窟や樹洞で出産する。1回に1 - 2頭の幼獣を産む。飼育下では3頭を産んだ例もある。出産間隔は隔年だが、幼獣が早期に死亡すると、翌年に出産することもある。繁殖力は低い部類に入り、乱獲と並んでパンダの絶滅危機の原因でもある。近年の研究によって、発情期以外でも声と匂い付けによって他のパンダと頻繁にコミュニケーションをとり、しばしば交流することが判明している。クマ科の気性外見や動作の特徴は人間にとって「愛らしさ」と映り、そのような面が注目を集めるが、クマ科動物として気性の荒い一面も併せ持っている。動物園の飼育員や見学客などが襲われる事件が、過去には何件か発生している。