Kokoro Awane

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アンゴラ(カビンダ)、ウガンダガボンカメルーン南部、コンゴ共和国コンゴ民主共和国東部、赤道ギニア中央アフリカ共和国南部、ナイジェリア東部、ルワンダ

体長オス170 - 180センチメートル、メス150 - 160センチメートル。体重オス150 - 180キログラム、メス80 - 100キログラム。毛衣は黒や暗灰褐色。

出産直後の幼獣は体重1.8キログラム。オスは生後13年で背の体毛が鞍状に白くなり、シルバーバックと通称される。生後18年で後頭部が突出する。

ゴリラは血液型を有するが、これはABO式血液型などのヒトの血液型と比較できるものではない。

本属に関する生物学的知見は、高地で眠り病などの伝染病を媒介するツェツェバエ類などの昆虫が少なく牧畜が行われていたため一部の現地住民を除いて食用として狩猟されることが少なかったこと・農作物を食害することが少なく害獣としての地元住民との軋轢が少なかったこと・これらにより人間に対する警戒心が薄く直接観察しやすかったこと・高い木がなく下生えが密生した環境に生息するため草が倒れた痕跡で追跡しやすかったこと・ほとんど樹上に登らないため痕跡が途絶えにくいこと・アフリカで最も古い国立公園であるヴィルンガ国立公園に生息し保護が早くから進められていたことなどの理由から、近年までヒガシゴリラの基亜種(以下マウンテンゴリラ)を中心とした知見に基づいていた。

多湿林に生息する。ガボン(国土の80 %以上を熱帯雨林が占める)ではニシゴリラの基亜種(以下ニシローランドゴリラ)が国内のサバンナを除く環境すなわち海岸の低木林・一次林・二次林にも生息することが判明している。生息密度は主に1平方キロメートルあたり1頭だが、コンゴのニシローランドゴリラ個体群では湿地での個体密度が1平方キロメートルあたり5頭に達することもある。昼行性で、夜間になると日ごとに違う寝床を作り休む。10 - 50平方キロメートルの行動圏内で生活し、1日あたり0.5 - 2キロメートルを移動する。

亜種や地域によって変化があるものの社会構造は端的にいえば、(1)単独のオス、(2)オス1頭とメス複数頭からなる群れ、(3)複数の雌雄が含まれる群れ、からなる。オスが成体になっても群れに残る傾向があるマウンテンゴリラを除くと、複数の雌雄が含まれる群れを形成することは少ない。オスの幼獣が産まれて成長すれば複数の雌雄が含まれる群れとなるが、通常は父親が後から産まれたオスが群れのメスと交尾しようとすると威嚇し交尾を抑制するために後から産まれたオスは群れから離脱してしまい、オス1頭とメス複数頭からなる群れに戻る。群れのオスが死亡した場合は、後から産まれたオスが群れを引き継ぐこともある。群れの大きさは低地では20頭以下、高地では30頭以上の群れを形成することもある。例として亜種ヒガシローランドゴリラでは、同亜種でも低地個体群と高地個体群では群れの大きさが異なる。群れ同士の関係は同じ地域であっても変異があり、マウンテンゴリラのヴィルンガ個体群はある時期には群れ同士が威嚇するだけで激しい衝突はせず異なる群れの幼獣同士で遊ぶこともあるといった報告例があったが、別の時期にはオス同士では激しく争い命を落とすこともあり子殺しも行うといった報告例がある。

食性は植物食傾向の強い雑食で、果実、植物の葉、アリやシロアリなどの昆虫などを食べる。低地では種にかかわらず果実食傾向が強く、果実が豊富な環境では果実を主に食べ、食べる果実の種数がチンパンジーと同程度に達することもある。本属とチンパンジーが同所的に分布するガボンの調査例では、食性の57 %(果実では79 %)がチンパンジーと重複する。マウンテンゴリラは季節によって果実なども食べるが、乾季に食物が少なくなると植物の葉・芽・樹皮・根などの繊維質植物を食べる[3]。低地ではアリを日常的に食べ、糞の内容物の調査では糞中からアリの破片(コンゴ共和国24 %、カフジ=ビエガ国立公園およびロペ30 %、中央アフリカ43 %)が発見された例もある。食べるアリの種類や、採食方法などは地域差がある。採食方法の例として、平手で地面をたたく・平手で樹上の巣を壊す・手の上に巣を乗せアリを叩き落とす・アリの群れに手を突っ込んで舐めるなどといったものがある。シロアリが生息しない高地に分布するヒガシゴリラは、植物についているダニやクモを無作為に食べることで動物質を補っていると考えられている。マウンテンゴリラは自分の糞も含めた糞食を行い、腸内細菌の摂取や未消化の食物を再吸収していると考えられている。

捕食者としてヒョウが挙げられる。例としてヴィルンガ山地のキソロでのシルバーバックの個体がヒョウに殺されたという報告例、コンゴ共和国のン・ドキでヒョウの糞の内容物の調査からオスの骨が発見された例、中央アフリカのザンガ・サンガ国立公園でヒョウに襲われた報告例などがある。カフジ=ビエガ国立公園のヒガシローランドゴリラの個体群ではオスが死亡した群れでメスや幼獣が主に地表に作っていた寝床(68.8 %)を樹上に作るようになった報告例がある(地表の寝床の割合が22.9 %まで減少)。この群れはオスが合流すると、60 %の割合で再び地表に寝床を作るようになった。これはオスがいなくなったことで、捕食者を避けようとしたためだと考えられている(カフジ=ビエガ国立公園にはヒョウはいないが、1970年代までは目撃例があったとされる)。動物学者の小原秀雄は、ゴリラを含む類人猿は知能が高いので恐怖や痛みに極めて敏感であり、ヒョウなどの捕食動物には不得手であると述べている。

繁殖様式は胎生。妊娠期間は平均256日。出産間隔は3 - 4年。寿命は約40 - 50年で、53年の飼育記録がある。 2017年1月17日に死亡したアメリカ、オハイオ州のコロンバス動物園の雌のゴリラ「コロ」は60歳まで生きた。死亡時には子供が3頭、孫が16頭、曾孫が12頭、玄孫が3頭いた。また彼女は人間に飼育されている環境下で誕生した初のゴリラでもあった。

前肢を握り拳の状態にして地面を突くナックルウォーキングと呼ばれる四足歩行をする。

発見以来、長年に渡って凶暴な動物であると誤解されてきたが、研究が進むと、交尾の時期を除けば実は温和で繊細な性質を持っていることが明らかになった。かつてドラミングが戦いの宣言や挑発の手段と考えられていたが、山極寿一によれば、胸をたたいて自己主張し、衝突することなく互いに距離を取るための行動だという。また、群れの間では多様な音声を用いたコミュニケーションを行い、餌を食べる時などに鼻歌のような声を出しているのが確認されている。

ゴリラは警戒心が強く、神経性の下痢にかかりやすい、心臓の負担から死にいたるなど、ストレスに非常に弱いことも明らかになっている。特に交尾の時期には、オスがメスを殺すことがあり、動物園での繁殖には細心の注意が必要とされる。

群れ同士は敵対的だが、縄張りを持たず、お互い避け合うことが知られている。交尾は一年を通じて行われ、発情期による「交尾の季節」は存在しない。ゴリラのメスには、チンパンジーに見られるような性皮の腫脹がないため、外見では発情しているかどうかは分からない。