Mitama Yakumo

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世界中の熱帯・亜熱帯・温帯(緯度±30°以内)、その表層海域に生息し回遊するが、ラグーン、珊瑚環礁、湾内にも入り込む。河口付近で見られることもある。特定の海域に留まる傾向の見えるメスに対し、オスは広い海域を回遊する。彼らは基本的に単独性であり、餌が豊富な海域でない限り集団を形成しない。現在の生息数の実際については必ずしも明確ではない。

最大全長20m。現在、個体記録の信頼に足る最大値は、2001年にアラビア海座礁した体長約18.8 mの雌である。以前にセイシェル諸島やインドのマハーラーシュトラ州にて21 mのものが報告されたが、これは正確な計測による数値ではない。体重は20t。

体形は紡錘形。体の幅は頭部で最も大きく、通常1.5 m程度である。扁平な形の頭部を持ち、その正面の両端(口の端の近く)に小さな眼がある。横幅が最大で1.5 mほどにもなる大きな口の中には、細かな歯が300-350本、列をなしている。5対の鰓裂(さいれつ)は胸鰭原基(胸鰭の始まり)の上前方にある。

体色は、腹部は白に近い灰色で、それ以外の全ての部分は色合いが濃く灰青色である。頭部・胸鰭・尾鰭には淡黄色の斑点を、胴部には白い格子の中に淡黄色の斑点が配された独特の模様を持っており、西欧ではチェス盤の模様に喩えられる。さらにこの模様には、個体ごとに個性が見られ、観察するにあたっての個体識別にも大いに役立つ。皮膚組織は分厚く、その厚みは最大値でおよそ10 cmにもなる。

成体の尾鰭は普通は半ば三日月形(下部がやや小さい)、ときに三日月形であるが、若い個体のそれは下部が目立たず、上部だけが大きいという特徴を持つ。

プランクトン(オキアミを含む小型甲殻類やその幼生、頭足類の幼生など)のほか、小魚、海藻などを摂食する。海水と一緒にそれらの生物を口腔内に吸い込み、吸い込んだ水の中から微細な生物だけを濾し取り食べるための櫛(くし)状の器官である鰓耙(さいは)で濾し取り、鰓裂から水だけを排出し、残った生物を呑み込むという摂食方法である。プランクトンは海面付近に多いため、ジンベエザメも海面近くでほとんどの時間をすごす。サンゴの産卵期にはその卵を食す。海面付近に漂う餌を効率よく口内に吸い込むために、体を垂直近くにまで傾ける習性が見られる。このため、大きな個体を飼育する沖縄美ら海水族館では、ジンベエザメの成熟した個体がそのような姿勢をとるに十分な大水槽の水深を10 mとしている。

本種とイワシ等の小魚はともにプランクトンを主食としているため、両者は同じ海域に餌を求めることが多い。小魚やその小魚を餌とする中型の魚はカツオやマグロといった大型回遊魚の餌であるから、本種のいる海域には大型回遊魚の群れがいる可能性も高くなる。これに関連する民俗的事象については「人間との関係」の項を参照のこと。マグロはジンベエザメに常に付いてまわる訳ではない。

動きは緩慢で、遊泳速度は平均4 km/h、最大でも13 km/h程度である。

性格はいたって温厚で、人が接近しても危険性は低い。非常に臆病で、環境の変化に弱いため、飼育は難しいとされる。大阪市海遊館沖縄県の国営沖縄水族館(現・沖縄美ら海水族館)などで長期の飼育記録がある。

繁殖についてはあまり分かっていないものの、数年に一回の割合でしか出産しない繁殖力の低い動物である。かつては卵生であると信じられていたが、1995年に台湾で全長10.6m、体重16トンの妊娠中のメスが捕獲され、約60cmに成長した生まれる直前の稚魚が307尾見つかり卵胎生であることが判明した。卵は長径30 cm、短径9 cmに達するものもあり、メスの胎内で孵化した後、40 cmから60 cmに達した状態で出産される。約30年で成熟し、60年から70年ほどを生きる。なかには150年を生きるとの説もある。

濾過摂食動物は生態ピラミッドの最低位にあるプランクトンを主食とする低次消費者のニッチ(生態的地位)である。しかし、動物史上では、この地位にこそ最大級の種が含まれていることが多い。濾過摂食性のニッチの占有者は生態系の中で常に存在していたはずであり、ときに最大級の種の存在が確かめられる。軟骨魚類としてはジンベエザメやウバザメ、オニイトマキエイなどがその好例であり、海生動物全体ではヒゲクジラ類が筆頭に挙げられる。また、過去の時代では中生代の一時期を生きた硬骨魚類のリードシクティスが、シロナガスクジラに迫る史上最大級の動物である。最も生物総量に優れた最小の消費者(実際は生産者も含む)を優先的に大量に摂ることは生物的強者でなければ許されない特権とも言える。彼らは低次消費者ではあるが、その意味で「勝利者」である。このニッチの占有者(その祖先動物)は競合力の高さによってその地位を獲得していったと推測される。

Kanagi Izumi

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アフリカ大陸、オーストラリア大陸北アメリカ大陸、アジア、ヨーロッパ

頸部は長い。尾羽は短い。翼は長く、幅広い。

頭頂や顔の一部に羽毛がなく、赤い皮膚が裸出する種が多い。嘴は長く直線的で、先端はとがる[1]。後肢は長い。第1趾は小型で、他の趾よりも上方に位置する。

雛は灰色や褐色の羽毛で被われる。

湿地、草原などに生息する。地表棲で地表で休むが、ホオジロカンムリヅルは樹上で休むこともある。熱帯域に分布する種を除いて、多くの種で渡りを行う。渡りの途中や越冬地では、大規模な群れを形成することもある。頸部と後肢を伸ばしながら飛翔するが、寒い時には後肢を折り曲げて飛翔することもある。

食性は植物食傾向の強い雑食で、種子、漿果、葉、地下茎、根、昆虫やその幼虫、甲殻類、貝類、ミミズ、魚類、両生類、爬虫類、鳥類やその雛、小型哺乳類などを食べる。アメリカシロヅル・カンムリヅル・ハゴロモヅルは動物食傾向が強く、カナダヅル・ソデグロヅル・ホオカザリヅルは植物食傾向が強い。一方で動物食・植物食傾向の割合は、地域や季節によっても変異がある。

ペアは基本的に生涯解消されない。湿地や草原に植物を積み重ねた巣を作りその上に産卵するが、地面に直接産卵することもある。基本的に同じ場所で繁殖し、巣も毎年同じものを使用する傾向がある[1]。雌雄共に営巣・抱卵を行う。主に2個の卵を、48時間の間隔で産む。まれに1個だけや3個の卵を産むこともあり、カンムリヅルは4個の卵を産んだ例がある。抱卵期間は28 - 36日。雛は孵化した日に、歩行することはできる。約10週間で飛翔し始めるようになり、3 - 4か月で完全に飛翔できるようになる。