Tsuruno Yui

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アンゴラウガンダエチオピアカメルーン北部、ケニアコンゴ民主共和国北東部、ザンビアジンバブエソマリアタンザニア、チャド南部、中央アフリカ共和国ナミビアニジェールボツワナ南アフリカ共和国南スーダンモザンビーク

マリ共和国では絶滅したと考えられ、エリトリアギニアセネガル、ナイジェリア、モーリタニアでは絶滅。エスワティニ、ルワンダには再導入。

角先端までの高さオス4.7 - 5.3メートル、メス3.9 - 4.5メートル。体重オス800 - 1,930キログラム、メス550 - 1,180キログラム。体色は橙褐色や赤褐色・黒と、淡黄色からなる斑紋が入り、この斑紋は個体変異がある。種小名camelopardalisは、「ヒョウ模様のラクダ」の意。

犬歯は2 - 3又に分かれ、枝から葉だけをしごくのに適している。長さ約45センチメートルに達する舌を持ち、柔軟性のある唇も合わせて木の枝にある棘を避けながら採食を行うことができる。多くの哺乳類と同様に頸椎の数は7個であるが、それぞれが大型かつ長い。頭部と長い頸部は発達した筋肉と靭帯で支えられ、肩が隆起する。第4・第5胸椎の棘突起は発達し、頸部を支える筋肉の付着部になっている。血管には弾力性があり、頭部を下げた際の急な血圧の変化にも対応することができる。頸部の静脈には弁がついており、血液が逆流することを防いでいる。視覚は特に優れているが、嗅覚・聴覚も発達している。

頭部の骨化はオスで顕著で、頭骨の重量がメス(4.5キログラム)の約3倍の15キログラムに達することもある。

アカシア属・カンラン科Commiphora属・シクンシ科Combretum属などが生えた草原、Terminalia属からなる疎林などに生息する。

構成や個体数が変動する繋がりの緩い10 - 20頭程度の群れで生活している。19世紀から20世紀初頭では20 - 30頭の群れの報告例があるが、2000年代以降は群れは平均6頭以下とする報告例もある。セレンゲティ国立公園での800日間にわたる観察では、群れの構成が24時間以上変わらなかったのは2例のみだったとする報告例がある。メスの行動圏は約120平方キロメートルに達し、オスの行動圏はより小さいが、群れに含まれず単独で生活する若獣のオスであればより広域となる。行動圏内で主に活動する範囲は中心部に限られ、外周円状に緩衝地帯があると考えられている。行動圏が他の個体と重複した場合は、それらの個体と群れを形成する。

主に薄明薄暮時に採食を行い、昼間は反芻を行う。通常は直立したまま休息や睡眠を行うが、安全が確保されていれば2 - 3時間にわたり座って休むこともある。前肢と片方の後肢を内側に曲げて地面に座り、眠りが深くなると首は丸めて体に乗せる。1日の睡眠時間は諸説あるが、眠りが深くなった姿勢をとるのは1日に3 - 4分、長くても10分とされる。食物の葉から摂る水分のみで、水を飲まなくても生きていくことができるため、アフリカに住む他の草食動物と異なり、乾季になっても移住をしない。時速50 - 60キロメートルで走ることができる。ほとんど鳴くことはないが、唸り声や鼻を鳴らす声など様々な声を出すことはできる。

食性は植物食で、主にアカシア属・シクンシ科などの木の葉、若芽、小枝などを食べるが、果実や草本を食べることもある。アカシアなどの棘のある食物は舌や唇でよりわけ、口内では粘着性の唾液で覆ったあと溝のある口蓋で押しつぶして飲み込む。オスは頸部を伸ばした姿勢でより高所の、メスは頸部をねじった姿勢で肩の高さくらいにある低所や低木の葉を食べすみわけを行っている。高木の葉はイネ科植物と異なり乾期でもあまり質が低下せず食物の制限があまりないため、乾期になれば水場周辺の木の葉を食べることで大規模な移動もせず周年繁殖することもできる。 食物が新鮮であれば数か月は水を飲まなくても生存することができる。飲水や低木の葉を食べる時、地面に落ちた果実を食べる時はしゃがまずに前肢を大きく左右に広げ、立ったままで水を飲む。これは敵に襲われたときにすぐに逃げることができるためであると考えられる。幼獣の捕食者は主にライオンが挙げられるが、生後3か月以内であればハイエナ類・ヒョウ・リカオンにも捕食される。幼獣が襲われた時には、母親が蹴りで応戦する。この蹴りによって、ライオンを殺すこともある。

オスは背比べにより優劣を決定するが、オス同士が首をぶつけ合い儀式的に争う(ネッキング)ことがあり特に優劣が決まっていない若齢個体のオスで多い。優位のオスは行動圏内を巡回し他のオスには背比べで優位を誇示しつつ、発情したメスがいれば交尾を行う。妊娠期間は453 - 464日。出産間隔は平均20か月。出産時に幼獣は2メートルの高さから落下することになるが、長い体が弓状にしなることで落下の衝撃を和らげている。授乳期間は10か月。生後2週間で、植物質を食べるようになる。生後3か月以内の死亡率はセレンゲティ国立公園で50 %。生後1年以内の死亡率は、セレンゲティ国立公園で58 %。ナイロビ国立公園では、73 %とされる。幼獣同士で群れを形成する傾向があり、メスは授乳期間を過ぎるとそのまま産まれた群れに合流し、オスは若獣のみで群れを形成し生後3 - 4年で産まれ育った行動圏から移動する。オスは生後42か月で性成熟するが、繁殖に参加するのは生後8年以降となる。寿命は25年。

キリンは時おり小鳥などの小動物を食べることもあるという。『キリン ぼくはおちゃめなちびっ子キリン』によると、多摩動物公園のキリンたちがトンカツや鳩を食べるので、高タンパクの飼料に切り替えると、めったに肉食しなくなったという。同書には、当時話題をまいた鳩をくわえた写真や、鳩の背後で舌を伸ばす写真が掲載されている。